相模原市における事務処理ミスの防止対策に対する評価・検証に係る 答申について
本日、相模 原市コ ンプ ライアンス 推進委 員会 から市長に 対し、 別添 のとおり相模 原市における 事務処理 ミスの防止対 策に対す る評価・検証 について 答申がありまし たので、お知らせします。
この答申の 内容を 踏ま え、市とし て効果 的な 事務処理ミ ス防止 対策 を実施するよ う取り組んでいきます。
1 答申の日時及び出席者
(1)日 時
平成28年12月8日( 木) 午前11時30分から
(2)出席者
・ 相模原市コンプライアンス推進委員会
委員長 中田( なかた) 亨( とおる) 氏( 国立研究開発法人産業技術総合研究 所人工知能研究センター 知識情報研究チーム長)
・ 本市
加山市長、小星副市長、隠田総務局長、岡総務部長
2 答申の内容について
別 添 相 模 原市 コ ンプラ イ ア ン ス推 進 委員会 の 答 申 の要 旨 及び相 模 原 市 にお け る 事務処理ミスの防止対策に対する評価・検証に関する答申書のとおり
平 成 2 8 年 1 2 月 8 日 相 模 原 市 発 表 資 料
問 い 合 わ せ 先
コ ン プ ラ イ ア ン ス 推 進 課 0 4 2 − 7 0 7 − 7 0 4 0
相 模 原 市 コ ン プ ラ イ ア ン ス 推 進 委 員 会 の 答 申 の 要 旨
1 諮 問 事 項
事 務 処 理 ミ ス の 防 止 対 策 に 対 す る 評 価 ・ 検 証 に つ い て
2 取 組 の 概 要
( 1 ) 事 務 処 理 ミ ス の 発 生 状 況 と 防 止 対 策 と し て 行 っ て い る 事 項 の 確 認
( 2 ) 事 務 処 理 ミ ス が 発 生 し た 事 案 に つ い て 担 当 部 署 へ の ヒ ア リ ン グ
( 3 ) 職 員 へ の 事 務 処 理 ミ ス に 対 す る ア ン ケ ー ト 調 査 等
3 事 務 処 理 ミ ス 防 止 対 策 等 に 対 す る 評 価 結 果
総 じ て 積 極 的 に 取 り 組 ん で い る こ と が 伺 え る も の の 、 重 複 し て い る 取 組
が あ る な ど 、 各 取 組 の 位 置 付 け が 整 理 さ れ て い な い 印 象 が あ る 。
( 1 ) 事 務 処 理 ミ ス 防 止 対 策 へ の 評 価
事 務 処 理 ミ ス 防 止 対 策 評 価
根 拠 法 令 等 自 己 点 検 シート 現 状 のまま継 続
コ ンプラ イ アンス通 信
事 務 処 理 ミ ス事 案 の原 因 分 析 ・ 再 発 防 止 策
実 施 状 況 等 の確 認
事 務 処 理 ミ ス防 止 ハンド ブッ ク
事 務 処 理 ミ ス事 案 ・ 監 査 指 摘 事 項 等 の周 知 見 直 し を図 り 継 続
一 斉 事 務 点 検 の実 施
事 務 処 理 ミ ス防 止 対 策 管 理 表 全 面 的 な見 直 し 又 は廃 止 を検 討
( 2 ) 平 成 2 8 年 度 に 発 生 し た 事 務 処 理 ミ ス へ の 対 応 の 評 価
発 生 し た
事 務 処 理 ミ ス
対 応 対 応 へ の 評 価
ネッ ト ワーク シス
テムの停 止
・ システム概 要 マニュ
アルの作 成
・ チェッ ク リ スト の作 成
・ マニュアルの作 成 は妥 当 な対 策
・ 使 用 頻 度 の低 いチェッ ク リ スト は長 期
的 には効 果 が弱 まる。
電 気 料 金 の 支
払 遅 延
・ 口 座 振 替 の実 施
・
支 払 管 理 表 の作 成・ 再 発 防 止 策 と し て妥 当 な対 応
・ 郵 便 物 の確 認 不 足 に加 え、 職 場 のス
ペ ー ス不 足 も原 因 と推 測 され るた
め、 職 場 環 境 の整 理 を意 識 的 に行 う
と 良 い。
4 事 務 処 理 ミ ス 防 止 対 策 に 対 す る 意 見
事 務 処 理 ミ ス
防 止 対 策
市 の 対 策 に 対 す る 委 員 会 か ら の 意 見
事 例 の収 集 によ る
統 計 的 な分 析
・ ヒ ヤリ ハ ッ ト を含 めた軽 微 なミ スにつ いて情 報 収 集 す る事 に
よ り 、 統 計 的 な分 析 に基 づく 効 果 的 な注 意 喚 起 等 を図 るこ と
が可 能 になると 考 えら れる ので検 討 さ れたい。
職 場 内 で の 情 報
共 有 に よるミ スの
削 減
・ 事 務 処 理 ミ スの防 止 につ いては、 職 場 内 での情 報 共 有 が不
可 欠 である 。
・ 朝 礼 や 定 期 的 なミ ー ティ ング等 にお ける情 報 共 有 の習 慣 が
ない部 署 では積 極 的 に取 り 組 む こ と を検 討 さ れたい。
整 理 整 頓 の 徹 底
・ 整 理 整 頓 の徹 底 は、 単 に職 場 環 境 の改 善 だけでなく 、 業 務
の効 率 化 に繋 がる 。
・ 事 務 処 理 ミ スを防 止 す る上 での最 も 基 本 的 な取 組 であるこ
と から 、 一 過 性 のも のではなく 、 継 続 的 な取 組 と して実 施 す
る こ と を検 討 さ れたい。
業 務 の見 直 し によ
る 効 率 化
・ 業 務 の見 直 し は、 事 務 処 理 ミ ス防 止 対 策 に先 立 って行 う 必
要 がある 。
・ 一 つ 一 つ の事 務 に対 して、 既 成 概 念 に捉 われ ず 事 務 手 順
の見 直 し を図 る よ う 取 り 組 まれたい。
マ ニ ュア ル の 改
善 ・ 作 成
・ 全 ての業 務 にお いて詳 細 なマニュアル を作 成 す るこ と は 理
想 的 で あるが 、 既 に 職 員 が 作 成 してい る簡 素 な手 引 き等
を、 「 簡 易 マニュアル 」 と して活 用 す るこ と が効 果 的 であるの
で取 り 組 まれたい。
各 職 場 に よる課
題 の抽 出
・ 一 律 に多 く の事 務 処 理 ミ ス防 止 対 策 を講 じ るより 、 職 場 ごと
に必 要 な対 策 を講 じ る 方 が効 果 的 である 。
・ 職 員 間 で自 由 な意 見 を出 し 合 う こ と で、 ミ スに対 す る想 像 力
を働 かせ るこ と 自 体 が1 つ の防 止 策 になると 考 えら れ るので
検 討 さ れたい。
種 々 の取 組 をまと
め る戦 略 が 必 要
・ 事 務 処 理 ミ ス防 止 対 策 のための取 組 が重 複 し ている傾 向 が
ある 。
・ 各 活 動 の位 置 付 けを目 的 ・ 方 法 ・ 評 価 の観 点 から 整 理 して
まと めるこ と が望 まし い。
相模原市における事務処理ミスの防止対策に対する
評価・検証に関する答申書
平成28年11月
相模原市コンプライアンス推進委員会
目 次
はじめに - - - 1
1 諮問事項 - - - 1
2 相模原市コンプライアンス推進委員会の構成 - - - 1
3 諮問事項に対する取組の概要 - - - 1
4 委員会の開催状況 - - - 2
5 事務処理ミス防止対策に対する評価結果 - - - 3
6 事務処理ミス防止対策に対する意見 - - - 8
7 今後について - - - 11
1
はじめに
市政運営に対する市民からの信頼は、市職員の適切な事務執行のもとに成り立って いることから、事務処理ミスの発生は、市政運営に対する市民からの信頼低下に直接 繋がることとなる。また、事務処理ミスが発生すると、その対応に時間、労力及び経 費が必要となることから、未然防止を図ることが重要である。
相模原市においては、従前から事務処理ミス防止対策に取り組んでいるものの、平 成27年度には 市民生 活に大きな影響 を及ぼ す事務処理ミス が発生 したため、平成 28年1月からコンプライアンス( 内部統制) 体制の強化を図ることとした。本委員会 は、その一環として設置されることになり、同年4月から事務処理ミス防止対策につ いての評価・検証に取り組んできた。
本答申書は、相模原市のこれまでの事務処理ミス防止対策に関する取組の評価・検 証に加え、より効果的な取組等について建議するものである。
今後はこの答申書の内容を踏まえて、事務処理ミス防止対策が進められることを期 待したい。
1 諮問事項
相模原市における事務処理ミスの防止対策に対する評価・検証について
2 相模原市コンプライアンス推進委員会の構成
中田 亨( 委員長) 国立研究開発法人産業技術総合研究所
人工知能研究センター 知識情報研究チーム長 石橋 忠文( 委員長代理) 弁護士
増田 理惠子 税理士
3 諮問事項に対する取組の概要
諮問事項について、市における事務処理ミスの発生状況と防止対策として行って いる事項の確認( 状況把握) 、事務処理ミスが発生した事案について担当部署へのヒ アリング(個別調査)、市職員への事務処理ミスに対するアンケート調査( 意識調査) 等により評価・検証を行った。
こ れ ら に より 実 際に発 生 し て いる 事 務処理 ミ ス と 今後 発 生する 可 能 性 のあ る リ スクを把握し、今後の事務処理ミス防止対策に資するよう取り組んだ。
2
4 委員会の開催状況
(1)第1回 平成28年4月25日( 月)
議題 相模原市における事務処理ミスの現状と対策について
内容 市において報道発表した事務処理ミスについて、事案の概要、ミスの類 型、事務処理ミス防止対策の取組内容等を確認するとともに、課題として 捉えている事項の聞き取りを行い、評価及び意見交換を行った。
(2)第2回 平成28年6月6日( 月)
議題1 平成27年度事務処理ミス事案に対するモニタリングについて 議題2 アンケート調査の実施について
内容 平成27年度に報道発表した事務処理ミスのうち、市民税・県民税の賦 課に係る公的年金等支払報告書の処理漏れ事案について、担当課から聞き 取り調査を行った。また、職員への事務処理ミスに関するアンケートの調 査項目、内容等について検討を行った。
(3)第3回 平成28年8月29日( 月)
議題1 事務処理ミス対策の現場改善手法について 議題2 事務処理ミス等に関する調査結果について
内容 事務処理ミス対策の現場改善手法として、調査の必要性と問題点、調査 方法等について確認した。
また、職員への事務処理ミスに関するアンケート調査結果の分析及び意 見交換を行った。
※ アンケート調査により寄せられた問題点について、コメントや取組事 例等を付した中間速報を市職員に発信した。
(4)第4回 平成28年10月17日( 月)
議題 事務処理ミス防止対策に対する評価について
内容 全 庁共通 に取り組んでい る事務 処理ミス防止対 策及び 平成28年度に 発生した事務処理ミスへの対応についての評価を行った。
(5)第5回 平成28年11月14日( 月)
議題 相模原市における事務処理ミスの防止対策に対する評価・検証に関する 答申書について
3
5 事務処理ミス防止対策に対する評価結果
(1)評価対象
事務処理ミスの未然防止の取組及び事務処理ミス等が発生した際の再発防止の 取組として実施しているもののうち、次の取組を評価対象とした。
ア 事務処理ミスの未然防止に対する取組
(ア)事務処理ミス防止対策管理表
(イ)根拠法令等自己点検シート
(ウ)コンプライアンス通信
イ 事務処理ミス・監査の指摘等に対する再発防止等の取組
(ア)事務処理ミス事案・監査指摘事項等の周知
(イ)事務処理ミス事案に対する原因分析・再発防止策実施状況等の確認
(ウ)事務処理ミス防止ハンドブックによる事例紹介
(エ)監査指摘事項等を対象とした一斉事務点検の実施
(オ)平成28年度に発生した事務処理ミスへの対応 a ネットワークシステムの停止
b 電気料金の支払遅延
(2)評価方法
各取組の内容について確認した後に、評価できる事項、改善すべき事項等を検 討し、「現状のまま継続」・「見直しを図り継続」・「全面的な見直し又は廃止を検討」 の区分で評価を行った。ただし、( 1) イ( オ) については、事案ごとに総合的な評 価を行った。
(3)評価結果
ア 事務処理ミスの未然防止に対する取組
(ア)事務処理ミス防止対策管理表
各課の事務分担等をもとに、担当する事務ごとに発生する可能性のあるミ ス、発生時期、ミス防止策及び担当者を記入し、組織的に管理するもの
評価 評価の理由
全面的な 見直し又 は廃止を 検討
【理由1】職員を対象とした事務処理ミスに関するアンケート 調査において、自由回答欄に、事務処理ミス防止対策管理表 の 実 効 性 の 弱 さ と 事 務 負 担 を 指 摘 す る 意 見 が 2 0 件 寄 せ ら れた。有用性を述べた意見はなかった。つまり、仕事の現場 では否定的な意見が強いことを示している。
【理由2】人間工学の視点から見ると事務処理ミス防止対策管
4
理表は、事務処理ミス防止対策に適しているとはいえない。 事務処理ミス防止対策管理表は、個別の事務処理ミスにつ いて、1個程度の対策を書く形式になっている。
このため、本質的には同じタイプのミスだが業務名が異な るものは別に行を立てて記載することになる。結果、行数が 多くなり、全体像が把握できない。
対策の記入欄が小さいため、「ダブルチェックする」といっ た簡素で汎用的なアイデアしか書けず、どの行も似たり寄っ たりの記述になる傾向がある。「ミスの履歴と事後処理を管理 するための表」と「再発防止のアイデアを考案するための表」 との2つの役割が混在しており、アイデア考案の面は弱い。
この管理表の形式は、工場の機械の故障といった機械的な トラブル対策では長年使われているが、多数の人間による作 業に適しているとはいえない。
事務処理ミスは、軽微なものや未然に防ぐことができたも のも含めると、多種多様な形で起こる。それゆえ、表形式で 分類し管理しようとすると、表が巨大化して失敗に至りやす い。
【理由3】管理表の廃止を補う方法はある。朝礼などの短時間 のミーティングで注意事項を周知すること、間違えやすい事 務に対する訓練やマニュアルを改善すること、疑問があった ら す ぐ に 詳 し い 人 に 尋 ね ら れ る 助 け 合 い を 制 度 化 す る こ と 等である。
(イ)根拠法令等自己点検シート
全職員が自分の担当する事務についての根拠法令や事務手順を記載したシ ートを作成し、根拠法令の認識不足に基づく事務処理ミスの発生を防ぐもの
評価 評価の理由
現 状 の まま継続
事務処理ミスのリスクを減らすものといえる。
本来ならば、全ての業務についてマニュアルを整備し、その 中に法的に必要となる事務も記載すべきであるが、業務の種類 が多く、また不定形の案件も存在するため、現実的ではない。
この点検シートは、こうしたマニュアル化されていない業務 についての手順を点検し、明文化する場となっていると考えら れる。
5
(ウ)コンプライアンス通信
事務処理ミス防止に関する意識啓発を図るため、事務処理において留意す べき点や、有効な取組等について定期的に情報提供をするもの
評価 評価の理由
現 状 の まま継続
事務処理ミスは知っていれば防げるという面が強い。ミスの 防止には情報の周知が重要であり、この通信がその役割の一端 を担うと考えられる。類似する前例や、社会状況・職場状況の 変化等を周知することが期待される。他の自治体や企業でも、 広く取り入れられている方法である。
イ 事務処理ミス・監査の指摘等に対する再発防止等の取組
(ア)事務処理ミス事案・監査指摘事項等の周知
事務処理ミスや監査における指摘事項等について、概要、発生原因等を職 員に周知し、注意喚起を図るとともに、必要な点検等を促すもの
評価 評価の理由
見直しを 図り継続
事務処理ミスのリスクの周知という点では意味があるが、活 用の仕方が難しい。他部署で起こったミスについての報道発表 資料を見るだけに終わってしまっている可能性がある。
コンプライアンス通信が既にあるので、それとの統合を考え るべきといえる。また、報道発表資料ベースの内容だけでなく、 啓発や改善の効果がある内容に見直しを図ることが望ましい。
(イ)事務処理ミス事案に対する原因分析・再発防止策実施状況等の確認 発生した事務処理ミスに対し、コンプライアンス推進課において事案担当 課に対するヒアリング等を実施し、発生原因の究明や再発防止策の妥当性に ついて検証し、担当課へのフィードバックを行うとともに、再発防止策の実 施状況について確認をするもの
評価 評価の理由
現 状 の まま継続
ミス事案を深く分析し、再発防止策を立案し、実行に移す活 動であり、市として欠かせない取組であるといえる。
なお、分析結果が実効性を伴って活用されるように、さらな る工夫をすることが望ましい。例えば、コンプライアンス通信 への掲載、訓練・研修での活用、ミス件数の増減比較による効 果の検証等である。
6
(ウ)事務処理ミス防止ハンドブックによる事例紹介
実際に発生した事務処理ミスや、監査により指摘等を受けた事項について、 調査において判明した発生原因や注意すべき点をまとめ、事務処理ミス防止 ハンドブックに掲載をするもの
評価 評価の理由
現 状 の まま継続
ミ ス 予 防 の た め の 注 意 喚 起 の 手 段 と し て は 標 準 的 な も の で あり、必要な取組といえる。
なお、ハンドブックの効果や使い方については検証する余地 がある。職員へのアンケートでは、このハンドブックについて の言及がなく、存在感が薄いように見受けられる。
(エ)監査指摘事項等を対象とした一斉事務点検の実施
監査において繰り返し指摘を受けている事項についてチェックシートを作 成し、全庁で一斉に点検を行うもの
評価 評価の理由
見直しを 図り継続
監 査 指 摘 事 項 等 に 速 や か に か つ 漏 れ な く 対 応 す る た め に 必 要である。
その一方で、繰り返し指摘を受けている事項ということは、 一斉事務点検の実効性が弱いという可能性もある。全庁に対し て同一文面で配布するものであるので、抽象的になったり、あ る い は そ の 部 署 に は 無 関 係 な 内 容 が 多 く な る と い う 欠 点 が 考 えられる。
また、チェックシート形式により点検が行われているが、点 検項目が当たり前な事項になりがちである。各指摘事項につい て「問題はないか」と問うチェックシートであるが、通常は、 規 則 通 り に 行 っ て い れ ば 指 摘 さ れ る ま で も な く 問 題 な い は ず であるからである。
監 査 結 果 に 対 応 す る た め の 指 摘 事 項 の 通 知 と 即 座 の 点 検 は 大切であるが、問題を時間をかけて深掘りして直すことにはつ ながっていないかもしれない。
改善策としては、指摘事項の内容に応じて、周知と改善実行 のルートを次のように分けることが考えられる。
(1)全庁共通ですぐに直せたり、確認できる単純な指摘事項 は、従来どおりのチェックシート形式で一斉点検を行う。
(2)限られた部署にのみ関係する指摘事項は、当該部署にだ け点検を行う。
(3)全庁共通ではあるが、部署ごとに違いがあったり、複雑
7
な指摘事項は、チェックシート形式ではなく、形式自由の 回答形式で現状報告と改善策の実行を各部署から報告させ る。つまり、「このような指摘事項があるが、各部署では具 体的には何が関係するか。それをどう対策しているか。」と いう報告を、文章で答えさせる。その方が、各部署も事情 が説明しやすい。
(オ)平成28年度に発生した事務処理ミスへの対応 a ネットワークシステムの停止
事案の概要
サーバのシャットダウンを適切に行わなかったため、翌 日ネットワークシステムが起動せず、窓口においてマイナ ンバーカードが交付できないなどの支障が生じたもの
再発防止策
(1)システムの概要マニュアルの作成による理解の促進
(2)シャットダウンを行う際のチェックリストによる確 認作業の実施
評 価
(1)概要マニュアルの作成は、まずは妥当な対策である。 サーバの起動と停止という重要な作業であるのに、マ ニ ュ ア ル で は リ ス ク が 分 か り や す く 書 か れ て な い こ とが問題である。専門的な機材では、マニュアルが素 人には読みにくいということはしばしばあり得るが、 そ れ を そ の ま ま 甘 受 し て マ ニ ュ ア ル と し て 使 い 続 け ることは望ましくない。
(2)対策のチェックリストは、応急処置としては効果が ある。しかし、本件は年に1回程度しか起こらない希 なケースであるので、チェックリストの存在を忘れな いようにすることが難しい。よって、職員の注意力に 頼った対策は、あと2、3年は有効であるが、長期的 には効果が弱まると思われる。
b 電気料金の支払遅延
事案の概要
防犯灯の管理を自治会から市に移管し、市が一括して電 気料金を支払うことになったが、「電気料金内訳表」とと もにダンボールに入れて送られてきた請求書に気付かず、 電気料金の支払が遅延したもの
再発防止策
(1)口座振替の実施
(2)支払管理表による支払手続の確認
(3)パソコンのスケジュール機能による支払期限の通知
8 評 価
(1)口座振替の実施により同様のミスが発生することは ないため、再発防止策としての課題はない。
(2)郵送物の内容の確認不足に加え、職場のスペース不 足も原因と推測される。
(3)どんなに広い職場でも、徐々に不要なものが溜まり、 やがてスペースが足りなくなる。所属ごとに「大掃除 の日」を制定させ、無駄なものを捨て、机のレイアウ ト を 改 良 す る と い っ た 職 場 環 境 の 整 理 を 意 識 的 に 行 うとよい。
市では事務処理ミスの未然防止、再発防止等について様々な取組を行っている。 総じて積極的に取り組んでいることが伺えるものの、重複している取組や見直す べき取組もあり、大局的な戦略が弱い印象がある。
6 事務処理ミス防止対策に対する意見
ヒ ア リ ン グや ア ンケー ト 調 査 の結 果 分析等 を 通 じ て市 の 事務処 理 ミ ス 防止 対 策 についての評価・検証を進める中で、新たな課題や、効果的であると考えられる対 策等について検討を行った結果、本委員会としての意見は、次のとおりである。
(1)事例の収集による統計的な分析
平成27 年度に 相模原市におい て報道 発表を行った事 務処理 ミスは24件で あるが、報道発表に至らなかった軽微なミスや、ミスに至らないヒヤリハット事 案は多数存在するものと考えられる。
重大事故を防ぐための教訓として、1つの重大事故の背後には29の軽微な事 故が存在し、29の軽微な事故の背後には300のヒヤリハット事案が存在する というハインリッヒの法則がある。重大事故の発生を防ぐためには、軽微な事故 やヒヤリハット事案を防ぐことが重要である。
市の取組においては、報道発表となった事務処理ミスに対しての原因分析や注 意喚起を行っているものの、軽微なミス等についての情報収集は行われていない。 それらの事例を収集することにより、例えば「この時期にはこのようなミスが発 生する」、「月初と月末にはミスが発生しやすい」等の統計的な分析が可能になり、 効果的な注意喚起等を図ることが可能になると考えられるので、実施について検 討されたい。
(2)事務処理ミス防止策
ア 職場内での情報共有によるミスの削減
事務処理ミスの防止については、職場内での情報共有が不可欠である。業務
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に関する重要な事項等に関する情報共有は当然のことであるが、事務処理ミス 事案や監査指摘事項等についても情報共有することで、ミスの軽減に繋がるも のと考えられる。
市においては庁内イントラネット等を通じてこれらの情報提供を行っている ものの、周知方法は一方的なものであり、全職員への周知が徹底されていると はいい難い。
朝礼や定期的なミーティング等、所属内で面と向かって声を出すコミュニケ ーションはより効果が高いと考えられるため、習慣のない部署では積極的に取 り組むことを検討されたい。
イ 整理整頓の徹底
職員へのアンケート調査の結果、起こる可能性のある事務処理ミスとして、 多くの職員が「書類等の紛失」を挙げた。また、実際に整理整頓の不足に起因 する事務処理ミスも発生している。
整理整頓は改めて取り組むようなものではないという感覚もあると思うが、 多くの企業で3S( 整理・整頓・清掃) をスローガンに掲げて業務改善に取り組 んでいる。整理整頓の徹底は、単に職場環境の改善だけでなく、業務の効率化 に繋がるものであり、事務処理ミスを防止する上での最も基本的な取組である ことから、一過性のものではなく、継続的な取組として実施することを検討さ れたい。
ウ 業務の見直しによる効率化
業務多忙の状況においては、適切なチェックが行われず、事務処理ミスの発 生に繋がり易いことから、業務の見直しによる効率化は、事務処理ミス防止対 策に先立って行う必要がある。一つ一つの事務に対して、「本当にその作業は 必要なのか」という視点に立ち、既成概念に捉われず事務手順の見直しを図る よう取り組まれたい。
エ マニュアルの改善・作成
事務処理手順を示すマニュアルの作成は、事務処理ミス防止対策の基本であ るが、職員へのアンケート調査では、マニュアルの整理・更新の不足や不備が 課題として多く挙げられていた。全ての業務において事務手順を詳細に記した マニュアルを作成することは理想的であるが、作成には一定の期間を要すると ともに、分厚く難解なマニュアルは有効に活用されるとは限らない。
既にそれぞれの職員が作成している簡素な手引き等を、正式な「簡易マニュ アル」として活用することが効果的であるので取り組まれたい。
10 オ 各職場による課題の抽出
事務処理ミス防止対策は多く取ればよいというものではない。対策を増やす ことで一つ一つの対策が形骸化してしまうことも懸念される。
市役所の業務は多岐に渡り、それぞれの部署で取り扱う事務も異なることか ら、全庁統一的な対策を多数講じるよりも、職場ごとに必要な事務処理ミス防 止対策を講じる方が効果的である。
職場に応じた事務処理ミス防止対策を講じるためには、現場の職員間でのブ レインストーミング
※ 1
やKJ法
※ 2
によるリスクの抽出が効果的である。「今は 起こっていないが、起こるとしたら何か」という視点により自由な意見を出し 合うことで、職場が抱える具体的なリスクが明確となるだけではなく、ミスに 対する想像力を働かせること自体が1つの防止策になると考えられる。職場と しての具体的な対策については、細かいリスクに対して全て対策を講じるので はなく、多くの職員が共通して考える3つのリスクに対して講じるなどの取組 が効果的であるので、実施について検討されたい。
また、講じた対策については、随時検証を行い、必要な改善を行うことでよ り効果的な取組とされたい。
(3)種々の取組をまとめる戦略が必要
「5 事務処理ミス防止対策に対する評価結果」で述べたように、事務処理ミ ス防止対策のための取組が重複している傾向がある。
局所的・個別的には努力していても、大局的な戦略が弱くなっている印象があ るので、各取組の位置付けを目的・方法・評価の観点から整理してまとめること が望ましい。
目 的
事務処理ミス防止対策には、具体的にはどのような目的がある か ( 例えば、事務の正確性向上、効率性向上、サービス品質向上 等が「目的」として挙げられる。) 。
目的が同じ取組で、重複しているものはあるか。 方 法
事 務 処 理 ミ ス の 状 況を 調 査 す る 方 法 及 び事 務 処 理 ミ ス 防 止 対 策は、適切であるか。無駄や重複がないか。
評 価
事務処理ミス防止体制は年々向上しているか。それをどう調べ ればよいか。
※ 1
【ブレインストーミング】
創造性を開発するための集団的思考の技法の一つ。会議のメンバーが、自由に意見や考え を出し合って、すぐれた発想を引き出す方法
※ 2
【KJ法】
ブレインストーミング等で収集した情報をカード化し、同じ系統のものをグループ化する ことで効率的に情報の整理と分析を行う方法
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7 今後について
法令の適用誤り、業務の遅延、不注意等による事務処理ミスは、職員一人ひとりが 適切な事務執行を心がけることに加え、チェック体制や情報共有体制の整備等、組織 的な取組が必要である。
職員一人ひとりの意識を高め、組織的取組を活性化するための方法として産業界で 最も代表的なものは、ミス低減と効率向上を目指す不断の活動を全員参加させる品質 管理活動( QCサークル活動) がある。つまり、個別の事務処理ミスが起きたときに、 当事者だけがそのミスだけの対策を考えるのではなく、普段から全員が職場全体を見 渡して効率向上のアイデアを出せる、井戸端会議的な場や班活動を奨励しているもの である。市においてもこれに似た取組や制度はあるが、全員の巻き込みを強めること も一案であるといえる。
今後は、時間的・人的制約のある中、その労力と効果を検証しながら、事務処理ミ ス防止対策の取組について改善を重ね、業務に応じた最良の対策を実施することによ り、継続して市民から信頼される市政運営となるよう努められたい。